十三浜小指-八重子おばあちゃんの日記

十三浜小指は宮城県石巻市にある小さな集落です。八重子は大正8年(1919)生まれ。昭和24年(1949)12月から始まる日記。

昭和二十六年 十月十四日

十月十四日月曜 晴

 智恵子の家に豆うちに正子がいった。

 私は青豆を一斗二升ばかりうった。

 たこつりは今日もいった。二日で二千円以上つった。

 

十月十五日火曜 雨

 雨ふりで一日ぬい物をした。もんぺのつくろいをした。

 

十月十六日水曜 晴

 石巻から玉ねぎの苗がきて五百うえた。

 午後から柿おとしみんなで三十ばかりとった。

 すばやへ女の子が生れた。

 

十月十七日木曜 晴

 やき山のいも畠をうなった。

 二人で一日かかった。

 

十月十八日金曜 小雨・はれ

 柿よりをした。家の仕事 まゆ勘定。

 

十月十九日土曜 晴

 前山の大根ひき、へらなをひいた。

 洗ってほした。

 おそく蒔いたけどよい大根です。

昭和二十六年 十月八日

十月八日火曜 晴

 今日もあわびの口開でした。私と妹は桑畑うなひをした。

 はやすみねをおひるまえできめてあと稲を全部いれた。

 

十月九日水曜 曇

 今日は稲こきをした。

 朝支度してごはんをたべてから始めた。

 八俵こいた。和子に手つだいをもらった。

 

十月十日木曜 曇

 今日は朝からはじめた。十俵こいた。

 福三郎、ちえ子、和子にすけられた。

 

十月十一日金曜 晴

 今日で三日こき方をした。

 みんなに手つだっていただいて夕方まで全部終わった。

 みんなで二十三俵とった。今までよりよいので一番とったぶんです。

 

十月十二日土曜 晴・曇

 今日は柿おとしをした。さしみずは今までにない位なった。

 入れもので十四ばかりおとした。

 

十月十三日日曜 晴

 はじめて(たこ)釣りにいったので、おとうさんに柿おとしをしてもらった。

 今日は十一車につんできた。

昭和二十六年 十月一日

十月一日火曜 曇

 おひる前やすんであと前山をうなって蒔いた。

 和子にすけられた。

 

十月二日水曜 晴

 いも畠をうない終っておひる前で蒔きおえた。

 あとなたねを植えた。

 

十月三日木曜 曇

 小間屋の庭をコンクリートにした。一日できまらなかった。

 セメント三袋使った。

 

十月四日金曜 くもり・雨

 今日おひるまえまでかかってすっかり終わった。

 留春叔父さんに今日もてつだってもらった。

 

十月五日土曜 晴 (十一月三日 文化の日)

 夜までひどい雨でしたがすっかり晴れてせんたく物をした。

 夕方は石巻の叔父さんがきて、岩井さんと二人それに

 千葉運転士さんとで大にぎわいでごちそうをした。

 

十月六日日曜 晴

 やき山へ豆ひき、あづきもぎをした。

 

十月七日月曜 晴

 あわびの口開でした。

 風のためとれなかった。

 達夫のたん生祝いを心づくしでした。

昭和二十六年 九月二十二日

九月二十二日月曜 晴
 私はこやしを車につんで馬にひっぱり方をした。
 午後から豆ひき、あななぐちをした。
 
九月二十三日火曜 曇
 朝こやしをちらしてべんとうを持ってみんなでうなった。
 大きい畠は終わった。
 雨がふってきたので早くかえった。
 
九月二十四日水曜 晴
 朝になってはれたので、だいをうなって
 はやすみねにきて夕方までうない終わった。
 べんとうをもった。
 
九月二十五日木曜 曇
 金肥も、石灰ちっ素一袋、過火酸一俵をあななぐちに使った。
 はやすみねは朝日に過りんさんだけ用いた。
 蒔き方をした。一斗五升をはやすみねまでもってきた。
 
九月二十六日金曜 晴
 朝に正子とだいをまいた。さき山をべんとうもっていってうない方をした。
 大根畠に今日まいた。
 
九月二十七日土曜 晴
 さき山をうなった分をまき方、こやしつけをした。
 
九月二十八日日曜 晴
 さき山をおひる前で終わった。
 興惣治叔父さん手つだいにきたのであとはやすみねに小麥をまいた
 夜は相川にいった。
 今年は石灰ちっ素三俵、過石一俵、肥料石灰を二袋、
 計三千円代買った。
 
九月二十九日月曜 曇
 はやすみねにさつまいも掘りにいって
 おひる前したら雨がふってきてやすんだ。
 和子ととしみが手つだいにきた。
 いもは数二十ばかりとった。

昭和二十六年 九月十六日

九月十六日火曜 晴
 さしみずの桑畑を蒔いてきた。
 あとやき山をうなった。
 やき山へこやしつけを今日で二日つけて二十だんはこんだ。
 
九月十七日水曜 晴
 やき山をうなって蒔いた。
 肥料石灰を使っただけで他のこやしはやらない。
 
九月十八日木曜 晴
 正子と二人でまめ引きいもほりをして少しうなった。
 夜はおいしく餅を食べた。
 
九月十九日金曜 晴
 やき山へ三日お昼をもっていきました。
 今日は蒔き終わってきもちよかった。
 肥料石灰をやき山へ二袋使った。
 他の金肥は入手しないのでやらない。
 
九月二十日土曜 雨
 朝あなぐちへ豆ひきにいって、あと雨ふりでやすんだ。
 
九月二十一日日曜 雨
 今日も一日中雨ふりでぬい物をした。
 はだ着をぬいなほした。
 お父さんが会議から四日目でかへった。
 作並温泉から山形まで見物したそうです。

昭和二十六年 九月十日

九月十日水曜 日本晴
 とても暖かでした。
 大根にこやしかけをした。
 白菜は三回大根は二回かけました。
 
九月十一日木曜 晴
 麥(むぎ)畠にこやしつけをした。
 前山に麥を少しまいた。
 あづきもぎをした。
 
九月十二日金曜 晴
 はやすみねの桑畠にこやしをはこんだ。
 蒔く準備をした。
 
九月十三日土曜 曇
 はやすみねを蒔き始めした。
 午後からさしみずをうなった。
 
九月十四日日曜 雨
 久々ぶりの雨ふりで作物やら人間やらみな大よろこびでした。
 夏以来ぬい物は始めてしますのでなにから手をだしたらよいか、
 まづもってこてをぬいました。
 
九月十五日月曜 雨
 今日も雨ふりでぬいものをした。
 夕方はれ上がってきた。
 へらなを少しやとった。

昭和二十六年 九月六日

九月六日土曜 晴
 前山へくり拾ひにいって二升ばかり、正子は五升。
 みんな合わせて八升拾った。
 夕方やき山へいもほりにいってきた。
 
九月七日日曜 晴
 稲さげで白浜まで船でいってトラックでさげた。
 十人いって都合よく夕方まですっかり終へた。
 今年はとてもよかった。
 四百五十束ばかりできた。
 夜は大さかもりをしてごちそうでにぎやかでした。
 安心した。
 
九月八日月曜 晴
 お祭りなのでみんなおやすみでした。
 女の人達はおどりのけいこをした。
 かつを船の勘定をして六百円づつ七人で分けた。
 
九月九日火曜 曇
 運動会で見物にいった。たいした人出でした。
 とてもよかった。婦人会のおどりもとてもほめられた。
 夕方までゆっくりみてきた。