十三浜小指-八重子おばあちゃんの日記

十三浜小指は宮城県石巻市にある小さな集落です。八重子は大正8年(1919)生まれ。昭和24年(1949)12月から始まる日記。

お知らせ2つ その1:公開勉強会「『十三浜小指 八重子の日記』について語りあう」が開かれました

 もう一年近く前になってしまいましたが、2017年12月17日、『十三浜小指 八重子の日記』に関して公開勉強会が開かれました。日記を作り上げてくださった先生が中心となり開催されたものです。十三浜の復興まちづくり情報館で開かれ、地域の皆さん、いろいろな分野の大学の先生たち、うちの親族や日記に興味をもってくださったかたなどが集まり、活気のある楽しい勉強会でした。

 女性の視点で書かれ残された記録は数が少ないこと、記された生活のあり様が貴重な資料となることなどが語られ、日記をそのように見て頂けて嬉しかったです。八重子おばあちゃんの語り口についてもいくつかの考えをお聞きしました。感情を抑制した静かな筆致が、戦地の慰霊へ赴く人の語り口に似ているとおっしゃった先生。そして、この日記そのものが戦死した前夫・善二郎さんへ向けて記されたものではないかとおっしゃった先生。はっとする新しい視点を与えていただきました。 

 そう、注釈作りの際にもわからなかった、「ざんす※」という語の意味もこの場で解明していただきました。十三浜に暮らす方から、これは「残酒(ざんしゅ)」のことだねぇ、と。前日の宴会で余ったお酒を、翌日に女の人たちが集まって飲むのだそうです。お疲れさま会のような形でしょうか。気楽な楽しい集まりだったのだろうなと想像しました。

 当時を知る人や、地元に暮らし続ける人たちがこうやって集まり、ああだった、そうそう、こんな感じだったというお話を聞けるのはとても楽しかったです。話すことで引き出される記憶がある、日常のできごとであったからこそ、なかなか話題に上がらず思い出されないままの事柄がもっともっとあるのだろうと感じました。

 

※昭和二十四年 正月二十一日木曜 晴

 今日はざんすで、おばあさんたちをよんでごちそうしました。