十三浜小指-八重子おばあちゃんの日記

十三浜小指は宮城県石巻市にある小さな集落です。八重子は大正8年(1919)生まれ。昭和24年(1949)12月から始まる日記。

昭和二十六年 九月一日

九月一日月曜 晴

 まゆかきをした。

 伯母さんと千代子だけでした。

 

九月二日火曜 晴

 今日までぬき終へた。

 夜は少しけばとり機でよわりをした。

 私は婦人会のおどりのけいこで中学校へいってきた。

 

九月三日水曜 晴

 まゆの出荷で相川渡しで大指がさきにした。

 家では四十貫ばかりとった。

 七十五瓦はいて四十メだと五メから少しこへたばかりでした。

 作柄は悪い方でした。

 今日までの苦労も一と安心といふ所でした。

 夜は勘定でまゆ金は五万円ばかりとった。

 

九月四日木曜 晴

 村のこんぶとりで、家では、はせこしらえで

 作兵エおぢさんと二人でした。

 私がほし方にいった。

 

九月五日金曜 曇

 雨模様ですが稲刈りに十人でモーターでいった。

 だんだんはれてとてもよかった。

 夕方は波でひどかった。

昭和二十六年 八月二十五日

八月二十五日火曜 曇
 今日もひきておかみの下へあげた。
 私達は役員会で学校へいった。
 運動会のことについて。
 
八月二十六日水曜 晴
 朝さき山の白菜にこやしかけをした。
 今日からこもぬきをした。
 さきに上げたのはよかったが
 ずいぶんひどかった。
 
八月二十七日木曜 晴
 こもぬきをした。天気がよいのですぐほした。
 
八月二十八日金曜 晴
 今日もこもぬきでとてもひどかった。
 今年は一般にごろが出た。気候柄だと思います。
 今年は炭は十二俵ばかりつかった。
 
八月二十九日土曜 晴
 こもは全部ほし終わった。まぶしはあまった。
 かいてん簇(まぶし)をつかったためでせう。
 今年も拾枚、去年のは八枚、十七枚つかった。
 
八月三十日日曜 曇
 栗おとしにさき山にいってもらった。
 青年団の運動会でした。
 私道路ぶしんに出た。
 まゆかきはおばあさんが四メばかりぬいた。

昭和二十六年 八月二十一日

八月二十一日金曜 曇
 はやい分は上簇(注1)した。
 棚は中間につった。
 
八月二十二日土曜 晴
 台所へ上げた。棚は二つこしらへた。
 その分おかみはがらあきだった。
 
八月二十三日日曜 晴
 今日も台所へ上げた。
 
八月二十四日月曜 晴
 おかみの二かいへ上げた。
 
 
注1 じょうぞく:簇(まぶし)という繭を作る場所へ蚕を入れること、だそうです。
 
 

昭和二十六年 八月十四日

八月十四日金曜 晴

 天気はよくなって桑取りにはとてもよかった。

 さき山とさしみずにいった。

 今日も桑づけた。

 

八月十五日土曜 曇

 おひる前はやき山をとった。

 十本以上出来た。

 午後ははやすみねへいった。

 夕方雨がふって早く来た。

 

八月十六日日曜 雨

 雨ふりでひどかった。

 でもはれ間を見てたいしてぬれて居なかった。

 あがとをとった。

 

八月十七日月曜 晴

 はれ上がって助かった。

 あななぐちをとった。

 あとはやすみねをとった。

 もち米を配給にいってきた。

 

八月十八日火曜 雨

 はれ上がってからはやすみねをとった。

 雨もはれ間があってよかった。

 

八月十九日水曜 晴

 はやすみねをとった。

 全部で二十本位出来た。

 

八月二十日木曜 晴

 さしみずを今日から始めた。

 男の人達も海をやめたので桑取をした。

 少し口ぴきをした。

 今年は十日位でひき始めた。

 枚数は二百三十枚ばかりあった。

昭和二十六年 八月十三日

八月十三日木曜 曇
 小雨がふってさしみずのみしょうをとった。
 三時頃二十一枚桑づけた。
 夜は多い分をかけた。
 夕方私はお母さんとさき山をとってきた。
 四眠の枚数は百八十枚でした。
 分家のは十八枚です。
 
八月十四日金曜 晴
 天気はよくなって桑取りにはとてもよかった。
 さき山とさしみずにいった。
 今日も桑づけた。
 
八月十五日土曜 曇
 おひる前はやき山をとった。
 十本以上出来た。
 午後ははやすみねへいった。
 夕方雨がふって早く来た。
 
八月十六日日曜 雨
 雨ふりでひどかった。
 でもはれ間を見てたいしてぬれて居なかった。
 あがとをとった。
 
八月十七日月曜 晴
 はれ上がって助かった。
 あななぐちをとった。
 あとはやすみねをとった。
 もち米を配給にいってきた。

昭和二十六年 八月八日

八月八日土曜 晴

 朝は寺の上をとったし夕方は分家のをとった。

八月九日日曜 大雨

 朝の中はふらなかったが十時ごろから

 風やら雨やら今までなかった。

 夜はすっかりはれて居た。

八月十日月曜 晴

 朝あななぐちをとった。

 私は大根にこやしをかけた。

八月十一日火曜 晴

 今日からかつを釣りが出た。

 家の船は始めから金で二千円ばかり売った。

八月十二日水曜 曇

 朝からすりとりで一日中かかった。

 早い分は十六枚桑づけた。

 かつを志津川へ三千円代うってきた。

昭和二十六年 八月五日

八月五日水曜 雨
 妹等を桑取りにやって、私は朝からすりとりをして
 夜までかかった。
 
八月六日木曜 晴
 雨もすっかりはれて今日は又よい天気です。
 あと分を今日もすりとり、早い分十二枚を桑づけた。
    一兵土をかけた。
 
八月七日金曜 晴
    多い分は朝から桑づけた。
    さき山のみしょうをとったし一兵土をかけた。
    分家のやき山をとった。