十三浜小指-八重子おばあちゃんの日記

十三浜小指は宮城県石巻市にある小さな集落です。八重子は大正8年(1919)生まれ。昭和24年(1949)12月から始まる日記。

昭和二十六年 九月十六日

九月十六日火曜 晴
 さしみずの桑畑を蒔いてきた。
 あとやき山をうなった。
 やき山へこやしつけを今日で二日つけて二十だんはこんだ。
 
九月十七日水曜 晴
 やき山をうなって蒔いた。
 肥料石灰を使っただけで他のこやしはやらない。
 
九月十八日木曜 晴
 正子と二人でまめ引きいもほりをして少しうなった。
 夜はおいしく餅を食べた。
 
九月十九日金曜 晴
 やき山へ三日お昼をもっていきました。
 今日は蒔き終わってきもちよかった。
 肥料石灰をやき山へ二袋使った。
 他の金肥は入手しないのでやらない。
 
九月二十日土曜 雨
 朝あなぐちへ豆ひきにいって、あと雨ふりでやすんだ。
 
九月二十一日日曜 雨
 今日も一日中雨ふりでぬい物をした。
 はだ着をぬいなほした。
 お父さんが会議から四日目でかへった。
 作並温泉から山形まで見物したそうです。

昭和二十六年 九月十日

九月十日水曜 日本晴
 とても暖かでした。
 大根にこやしかけをした。
 白菜は三回大根は二回かけました。
 
九月十一日木曜 晴
 麥(むぎ)畠にこやしつけをした。
 前山に麥を少しまいた。
 あづきもぎをした。
 
九月十二日金曜 晴
 はやすみねの桑畠にこやしをはこんだ。
 蒔く準備をした。
 
九月十三日土曜 曇
 はやすみねを蒔き始めした。
 午後からさしみずをうなった。
 
九月十四日日曜 雨
 久々ぶりの雨ふりで作物やら人間やらみな大よろこびでした。
 夏以来ぬい物は始めてしますのでなにから手をだしたらよいか、
 まづもってこてをぬいました。
 
九月十五日月曜 雨
 今日も雨ふりでぬいものをした。
 夕方はれ上がってきた。
 へらなを少しやとった。

昭和二十六年 九月六日

九月六日土曜 晴
 前山へくり拾ひにいって二升ばかり、正子は五升。
 みんな合わせて八升拾った。
 夕方やき山へいもほりにいってきた。
 
九月七日日曜 晴
 稲さげで白浜まで船でいってトラックでさげた。
 十人いって都合よく夕方まですっかり終へた。
 今年はとてもよかった。
 四百五十束ばかりできた。
 夜は大さかもりをしてごちそうでにぎやかでした。
 安心した。
 
九月八日月曜 晴
 お祭りなのでみんなおやすみでした。
 女の人達はおどりのけいこをした。
 かつを船の勘定をして六百円づつ七人で分けた。
 
九月九日火曜 曇
 運動会で見物にいった。たいした人出でした。
 とてもよかった。婦人会のおどりもとてもほめられた。
 夕方までゆっくりみてきた。

昭和二十六年 九月一日

九月一日月曜 晴

 まゆかきをした。

 伯母さんと千代子だけでした。

 

九月二日火曜 晴

 今日までぬき終へた。

 夜は少しけばとり機でよわりをした。

 私は婦人会のおどりのけいこで中学校へいってきた。

 

九月三日水曜 晴

 まゆの出荷で相川渡しで大指がさきにした。

 家では四十貫ばかりとった。

 七十五瓦はいて四十メだと五メから少しこへたばかりでした。

 作柄は悪い方でした。

 今日までの苦労も一と安心といふ所でした。

 夜は勘定でまゆ金は五万円ばかりとった。

 

九月四日木曜 晴

 村のこんぶとりで、家では、はせこしらえで

 作兵エおぢさんと二人でした。

 私がほし方にいった。

 

九月五日金曜 曇

 雨模様ですが稲刈りに十人でモーターでいった。

 だんだんはれてとてもよかった。

 夕方は波でひどかった。

昭和二十六年 八月二十五日

八月二十五日火曜 曇
 今日もひきておかみの下へあげた。
 私達は役員会で学校へいった。
 運動会のことについて。
 
八月二十六日水曜 晴
 朝さき山の白菜にこやしかけをした。
 今日からこもぬきをした。
 さきに上げたのはよかったが
 ずいぶんひどかった。
 
八月二十七日木曜 晴
 こもぬきをした。天気がよいのですぐほした。
 
八月二十八日金曜 晴
 今日もこもぬきでとてもひどかった。
 今年は一般にごろが出た。気候柄だと思います。
 今年は炭は十二俵ばかりつかった。
 
八月二十九日土曜 晴
 こもは全部ほし終わった。まぶしはあまった。
 かいてん簇(まぶし)をつかったためでせう。
 今年も拾枚、去年のは八枚、十七枚つかった。
 
八月三十日日曜 曇
 栗おとしにさき山にいってもらった。
 青年団の運動会でした。
 私道路ぶしんに出た。
 まゆかきはおばあさんが四メばかりぬいた。

昭和二十六年 八月二十一日

八月二十一日金曜 曇
 はやい分は上簇(注1)した。
 棚は中間につった。
 
八月二十二日土曜 晴
 台所へ上げた。棚は二つこしらへた。
 その分おかみはがらあきだった。
 
八月二十三日日曜 晴
 今日も台所へ上げた。
 
八月二十四日月曜 晴
 おかみの二かいへ上げた。
 
 
注1 じょうぞく:簇(まぶし)という繭を作る場所へ蚕を入れること、だそうです。
 
 

昭和二十六年 八月十四日

八月十四日金曜 晴

 天気はよくなって桑取りにはとてもよかった。

 さき山とさしみずにいった。

 今日も桑づけた。

 

八月十五日土曜 曇

 おひる前はやき山をとった。

 十本以上出来た。

 午後ははやすみねへいった。

 夕方雨がふって早く来た。

 

八月十六日日曜 雨

 雨ふりでひどかった。

 でもはれ間を見てたいしてぬれて居なかった。

 あがとをとった。

 

八月十七日月曜 晴

 はれ上がって助かった。

 あななぐちをとった。

 あとはやすみねをとった。

 もち米を配給にいってきた。

 

八月十八日火曜 雨

 はれ上がってからはやすみねをとった。

 雨もはれ間があってよかった。

 

八月十九日水曜 晴

 はやすみねをとった。

 全部で二十本位出来た。

 

八月二十日木曜 晴

 さしみずを今日から始めた。

 男の人達も海をやめたので桑取をした。

 少し口ぴきをした。

 今年は十日位でひき始めた。

 枚数は二百三十枚ばかりあった。